シリシリウリウリー22:冬はオリオンに限る
冬はオリオンに限る
地元のビールはうまい。論理的にはビールの命である新鮮さと宿敵である移動運搬時の衝撃の少なさからである。そんな理屈がわかっていても和家マスターのカピBarには遠い異国のイスラエルのビール『マカビ』がある。そこには思い入れという旨みが加わる。逆にオリオンビールに物足りなさを感じるのは私だけであろうか?特に鍋などを囲んでじっくり味わって飲むのには合わない。鍋を食べる文化がないと一笑される方もいるだろうが、個人の嗜好ということでお許しを。もちろん夏のビーチパーティーではオリオンビールはうまい。照り付けるギンギンの太陽とまぶしい砂浜には喉ごしで飲むコクのない軽いビールが良く似合う。
夏のビーチはオリオンに限る。
沖縄の夜道は暗い。外灯が少なく不安を感じる場所も多々。防犯用の保安灯などの設置には補助金がでる場合があるが、一般的に歩行者用の外灯の設置・維持費用は自治会・通り会などの費用負担である。冬の北国のように午後4時頃に真っ暗になるなら外灯は生活必要不可欠であるが、いつまでも明るく、普通の人は寝ている時間に活動する一部の人の為にみんなでお金を集めようとはなかなかならないのであろう。
沖縄の国道も暗い。南部の糸満市あたりでは国道でも真っ暗な道が多い。ためしに夜、運転中に停車してライトを消すと恐いくらいの暗闇となる。予算不足か、整備遅れか、車社会で歩く人が少ないからか(飲みには出歩くけどね)、治安がいいから必要ないのか。調べてみると日本道路協会の道路照明施設設置基準では一日平均2万5千台以上の自動車が通るところには連続照明(一定の間隔の外灯)の設置が決まっており、それより交通量の少ない道路は交差点やカーブ、事故の多い所などを除いて全国的に外灯がないとのこと。
カピBar常連のさそり座の女性と「やっぱり沖縄の道路は暗い」という話で盛り上がる。二人が出した結論は「暗いのは星をきれいに見るため」というロマンチック説。実際きれいな満天の星空が見える。彼女が帰った後、片付けを終えての帰り道、南の空に光り輝く星座がとてもきれいで思わず立ち止まってしまった。ギリシア神話でもさそりが消えてから登場するのはクレタ島の狩猟。
冬の星座はオリオンに限る。
※沖縄JOHO 2001年1月号掲載
全24作品⇒
若造沖縄新鮮体験コラム「シリシリウリウリー」インデックス
若造作品保存館⇒
若造アーカイブズ
関連記事