シリシリウリウリー09:ハブのいない島、ハブのいる空港。

和家若造

2010年09月30日 16:09

ハブのいない島、ハブのいる空港。

 沖縄ではハブのいる島といない島が交互にならんでいる。そんな神秘的な話を聞いた北国の冒険少年は想像力を駆け巡らせた。ハブのいない島は何かが違う。火山・珊瑚・塩分含有率・湿地・その他の地質、それとも気が荒い島民の気質?気候・天候の部類。「大ハブクイ」や「ハブ取り草」などの天敵動植物の存在。ハブ酒業者の乱獲による絶滅。将棋の羽生名人レベルのハブ取り名人の存在。その島の人達が熱く語る方言が耳障りで逃げた(ハブは熱を感じるらしい)。グリム童話のハーメルンの笛吹きが出張退治。そして神の力。ここまで執拗に思いを巡らせるには理由がある。「熊に遭った時は死んだ振り」のようなハブに出会ったときの対処方法を知りたかったから。いつの日か南の島で暮らすことを夢見た北国の冒険少年は、実は臆病だった…。

 「山がない島にはハブがいない」これが正解のようである。氷河期の終わりに氷が融けて水面が250メートル位上昇し、それ以上の高さの山が無い島は海水に沈んだ。沈んでしまった島には基本的にハブはいない。その後、荷物運搬にまぎれたり、人の手によって作為的に持込まれ、そして野生化するということも考えられるがこれはまた別の機会に…。逆に沈まなかった島には琉球列島が大陸と陸続きだったころからずーっとハブがいるのであるから大々先輩である。

 さてさて那覇空港が新しくなりました。アジア各国のヘビを集めた爬虫類博物館完備の空港で待ち時間も有意義に楽しめます。これぞ真のアジアのハブ空港。(なんて話はないので、よい子のみんなは試験に書かないように)

※沖縄JOHO 1999年12月号掲載 



全24作品⇒若造沖縄新鮮体験コラム「シリシリウリウリー」インデックス



若造作品保存館⇒若造アーカイブズ

関連記事