2007年01月26日

シリシリウリウリー20:メッセンジャー

メッセンジャー

 沖縄で生活しようと思った理由の一つにガジュマルの木に住む妖精「キジムナー」の存在がある。北欧のサンタクロース伝説の妖精「トムテール」の事を知ったときのように夢が広がった。2年前、早く沖縄に馴染みたいという気持ちも手伝って多くの人からキジムナーについての聞き取り調査をした。このコラムを書くきっかけでもある。その頃作成された札幌の出身高校の同窓会名簿には勢いで「職業:キジムナー研究家」と記した(笑)。

 聞き取り調査の統一イメージとしては、赤くて長い髪の少年でいたずらと魚の目玉(特に左眼)が大好きで、おならとタコが大嫌い。しかし地域によって評価がかなり違う。わかりやすく二つに分けると悪者とそうではない者。前者は金縛りや火傷、他の悪いこともキジムナーのせいとし、後者は遊んで欲しいから、かまって欲しいからイタズラするという程度。しかしそのイタズラも度が過ぎると困るので小学校にあるガジュマルの木には根元に釘をさしてキジムナーが下りられなくしてあったり、お供え物をしたりするという。おとぎ話の世界ではなく、生活の一部にキジムナーはとけ込んでいる。更に、離島の海人(漁師)は浜辺で目玉だけ食べられた魚を何度も見ていると言い、北部出身の女性は子供の頃、櫛を取られて返ってきた時には赤い毛が沢山ついていたと言う。しかしなかなか私にはピンとこなかった。

 私の心を動かしたのは糸満出身の女性のキジムナー体験談。子供の頃彼女の枕もとにキジムナーが立った。ずーっと夢だと思っていたが、大人になってキジムナーは環境破壊の危機を伝えるメッセンジャーであるという話を聞いて、あの時のキジムナーは本物ではと思うようになった。彼女が夢と思った日の2~3日後に近所のガジュマルの木が切り倒されていたのである。

 いつのまにかその彼女と付き合うようになって、その日は名護にドライブ。ヒンプンガジュマルという大きな木の前で写真を撮っていると一人の少年が仲間に入れて欲しそうに寄ってきた。しばらく3人で仲良く過ごし、その後、何もなかったようにドライブは続いた。3日後私は彼女に振られてしまう。今思うとあの少年は“二人の仲”という環境の危機のメッセージを伝えるキジムナーだったのかもしれない。

※沖縄JOHO 2000年11月号掲載   

Posted by 和家若造 at 13:51Comments(2)TrackBack(2)シリシリウリウリー